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色々なところでInitial Coin Offeringについて議論になっているので、少し法律関係を纏めてみました。長くなったので法律オタクの人むきですね(笑)
仮想通貨法、ファンド規制、消費者契約法、税務、他の法律との比較感、米国のICO規制などについて書いたので、ご関心ある部分をご利用下さい。

なお、今後、セミナーなどで使用しようと思っているドラフトなので、議論の結果等を踏まえ将来的に考えを変える可能性があります。
(7月4日初校、10日若干修正、27日に25日のSEC Investigation Reportに関連する点を追記し、併せて税務面を少し記述。29日に消費税について加筆)

(古いレジュメ: 170727_ICOと日本法(ver1.2) → 直リンクの方用に暫く置いておくもの)

7月29日改訂版レジュメ: 170729_ICOと日本法(ver1.3)

国会でも取り上げられた(参議院財政金融委員会平成29年6月18日付質疑、VALUで検索したところで出てきます)ということで、VALUについて少し書いてみます。
VALUは仮想通貨法上の「仮想通貨」に該当するのでしょうか。
これは結論としては、1号仮想通貨には該当しない、他方、2号仮想通貨に該当するかはよく判らない、ただ、現状の仕組み(現状β版)の範囲では当たらないと考えることも充分できる、ということになると思います。

仮想通貨法の仮想通貨の定義

仮想通貨の定義は資金決済に関する法律の2条5項にありますが、2種類の仮想通貨があり、それぞれ以下のように定義されています。

1号仮想通貨の定義
「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」

2号仮想通貨の定義
「不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」

考え方: 「不特定」に該当しない?
このうち、1号仮想通貨については、私が見る限り、VALUは現状、提供者のサービスを受ける、という目的にのみ使用され、「不特定の者に対して使用できる」に該当しないので定義に該当しないということになりそうです。

他方、2号仮想通貨については、「①不特定の者を相手方としてBTCとの間で相互に交換できる」「②電子機器に記録された財産的価値」であり、かつ、ネット上で売買できるので「③電子情報処理組織を用いて移転することができる」に該当する、従って、2号仮想通貨に該当するようにもみえます。
ただ、この①について、現在、VALUはあくまでVALUの会員登録をした内部でのみ移転が可能な仕組みのようであり、そのために「不特定多数の者」と交換できるものではない、とVALU運営側は考えているようです。Ready ForのQ2参照。

仮想通貨の定義の「不特定」の概念について、金融庁は限定的に解釈しているようです。例えば1号仮想通貨の定義の「不特定の者に対する使用」については、発行者と店舗等との間の契約等により、代価の弁済のために仮想通貨を使用可能な店舗等が限定されていないか」、「発行者が使用可能な店舗を管理していないか」等の要件が課されます(仮想通貨ガイドラインの4頁I-1-1参照。なお、この規定及び通貨建資産の除外の規定により通常の電子マネーは仮想通貨の定義から除外されます。)。

また、2号仮想通貨の「不特定」は、仮想通貨法ガイドラインでは「発行者による制限なく、1号仮想通貨との交換ができるか」、「1号仮想通貨との交換市場が存在するか」等の要件が基準になります。もし、運営側が会員間でのみ売買を認めるとしており、実際にその仕組みが担保されているのであれば、それは「不特定」の間の交換ではない、と考える余地は充分あります。(6月22日(木)午前1時38分追記: 他方、誰でも会員登録でき、それで売買できるのだから「それは不特定だ」という考え方もありえます。「不特定」の考え方次第です。ただ、ここで不特定の範囲を狭くしすぎるとそれはそれで他の商品を考えた場合に問題が出る場合も・・・)

VALUの移転の仕組みについて、規約を見るだけではどういった仕組みなのか良く判りません。報道ではブロックチェーン技術を活用しているようですので(TechCrunchさんの記事など)、ブロックチェーン上で発行されブロックチェーン上で移転可能な仕組みなのか、とも想像されますが、他方、VALU利用規約上、「当社は、VALUの発行及び売買を制限し又は取り消し、又は発行済みのVALUを無効とすることができるものとします。」等とありますので、現在は、各種の制限が加えられる仕組みになっているように見えます。

ファンクラブ会員権、株式とかがBTCで売買された場合は?
なお、2号仮想通貨については定義上、仮想通貨の範囲を限定しすぎて脱法的な仮想通貨が発行されないようにするために、広めの定義になっています。そのため、VALUのような商品や各種の新しい商品が出てきた場合、2号仮想通貨に該当するか否かは、検討を要することになります。

例えば、VALUについては、価格がついており移転がされる、という違いがあるだけで、ファンクラブの会員権のようなものにも見えます。ファンクラブの会員権が紙では発行されず、単にコンピュータ上で記録されている、その会員権がオークションサイトでBTCで売買できるようになっている、という場合、ファンクラブ会員権は仮想通貨になるのでしょうか?

また、VALUは株式に類似する、等の説明もされています。
例えば、上場されている株式(無額面株式)をオンライン証券でBTCで売買できるようになった場合(現在、そのようなことは金融庁から認められないと思いますが笑)、当該株式は「仮想通貨」になってしまうのでしょうか。現在の株券は電子化されており紙では発行されていない、また移転もほふりでの移転でなされるので「電子」的になされる、そしてBTCと相互に交換できる、また無額面株式であれば通貨建資産には該当しない、とすれば、2号仮想通貨の定義に該当するようにも見えます。証券会社で口座を開いた人の間でしか売買できないことから「不特定」ではないと考えるか、それともほふりでの移転は「③電子情報処理組織を用いて移転することができる」に該当しないと考えるか・・・・

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仮想通貨については「情報通信技術は急速に進展しており、日々、変化するものであることから、仮想通貨の該当性については、その利用形態等に応じて、最終的には個別具体的に判断する」とあり(上述仮想通貨ガイドライン4頁)、個別判断になります。ただ、ブロックチェーン上に各種権利が乗ってきた場合に、どう考えるのか、というのは面白いですね。

金融法学会(金融法の分野では最もメジャーな大会かと思います)が10月10日(月・祝)に東京大学の「伊藤謝恩ホールで開催されます。

http://www.kinyuhogakkai.jp/
その7コマある発表のうち2つがビットコイン関連の話です。

→ 関連資料は金融法務事情2047号に掲載されています

なお、今後、ビットコインやブロックチェーンが私法上、どのような性質を有するかについては議論しなくてはならないだろうと思っていますが、斎藤も大会にコメンテーターとして登壇することもあり、考えたことをblogに残しておきます。まだまだ考えないといけないことも多いのですがご参考まで

①学会スライド投影用資料(ドラフト)

仮想通貨コメント

②その前提として取戻権について考えた資料(ドラフト)

ビットコインの権利に関する問題意識

2016年8月2日付でハッキングを受けたとされるBitfinexが損失補てんのためにユーザーにトークンを発行するというにつき、幾つかの場所で聞かれたので自分の備忘用です。

(事実関係)

① 各種報道によるとBitfinexは8月2日にハッキング攻撃(とされるもの)を受け119,756 BTC(約6,600万ドル)の損失

②    同社の公式アナウンスではSecurity breach/theft等と表明されているが、詳しい原因や損失は現時点ではアナウンスされていない

③ 同社は8月6日付でカスタマー全員に36.067%の損失を負担させることを決定

③ 損失分をBFXと呼ぶトークンを発行。1BFX=1ドルで計算。当該トークンはBitfinexによって償還されるか、取引所Bitfinexの運営会社であるiFinex Incの株式と交換されるまで存続

(現時点での感想)

①  1BFX=1ドルと述べているが当該価格で実際に取引されるかは不明(詳細は発表されていないが難しいのでは)

②  預託の金銭・預託BTCともに36%強制的にカット。カスタマーが取引所に返還を求めても強制的にカットされた限度でしか受け付けないということだと思われるが、カスタマーがBitfinexを訴えた場合に同社が勝てるかは不明(日本の弁護士の感覚としては厳しい印象。但しBVI法等不明)

③    準拠法も管轄もBVIであることから時間稼ぎをしながら取引所を継続させることも考えられるが、大口の債権者に敗訴した時点で取引所の存続が厳しくなる

④ またカット後の金額で大量流出の可能性

⑤ 潜在的投資家と出資を話しているとのことである。同社の現時点でのEquityがどの程度あるのかは調べていないが、数十億円の債務超過(潜在的な債務超過?)が存在している取引所に出資をすることは通常の感覚では困難

⑥ Good CompanyとBad Companyを分け、Good Companyに出資を受けることも考えられるが、(日本法だと)詐害行為取消、否認等の問題。BVI法だとどうか?

⑦    コミュニティーの中にはMtGoxとの比較から、倒産ではなく株やTokenで帰ってくるのであれば望ましいという意見もあるように見受けられる。全債権者がTokenに合意していれば良いが、大口債権者がToken処理に反対すれば上記③のようなリスクある。また反対する小口債権者が集団で訴えてくる可能性も

⑦ 仮にスポンサーが発見できたとしても、常識的には私的整理ではなく法的再生手続きを経た上で再生を行う事案ではないか(例えばGood Company、Bad Company方式のプレパッケージ型)。但し、BVI法、香港法、米国法など各国の法律が関係し、債権者も多数国に多数存在すると思われる中で法的再生手続がワークするかも予断を許さない印象。

添付のPDFファイルで同社のアナウンスメントや規約等を紹介しています。Bitfinex関係備忘ノート160809

5/25の仮想通貨法の成立以来、セミナーなどで色々な質問をされるのですが、よくある質問 と回答を記載してみました。法人の方に聞かれる質問は記載しにくいので、どちらかというと個人の方に聞かれる質問が多い、と思いますが、金融系の方からセミナーで聞かれる質問も多少入っています

仮想通貨法FAQ160625(2)

(更新履歴 6.25アップ、6.25一部修正)

スマートコントラクトを利用したファンドというものがあるとの報道に接しました。仮にそのようなファンドが金商法の登録を経ずに日本で金銭にて販売された場合、金商法違反になる可能性があります。

何人かの方に聞かれましたので注意喚起のためにメモを書いています。

但し私は具体的商品がどのように運営・販売されているのか知りませんので、具体的商品が違法か合法か等について述べるものではありません。

→ もともとFaceBookで16日付けで上げたものですが、17日付でthe DAOについて追記しています。

スマートコントラクトを利用したファンドについて160617

(1)衆議院財務金融委員会の質疑のうち仮想通貨に関する部分の抜粋

(2)参議院財政金融委員会の質疑のうち仮想通貨に関する部分の抜粋

を添付しておきます。

仮想通貨法の成立に際し国会の委員会で①消費税、②分別管理、③財務要件、④説明義務、等々が議論されています。

議事録全体は公開されていますが長文になりますので、自分の手控用に「仮想通貨」に関する質疑応答部分のみをワードファイルにしたものです。

仮想通貨に関心がある方が読むにはこちらのほうが便利かと思います。なお黄色ハイライトは斎藤が個人的に特に参考になると思っている部分です。

衆院財務金融委員会(160427)議事録抜粋 参院財政金融委員会(160524)議事録抜粋