過労死とは、長時間労働などが原因となり、脳血管疾患や虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」といいます)の疾病を発症することをいいます。
厚生労働省が発表した脳・心臓疾患係る労災補償状況によれば、毎年、約800件から900件程度の請求が行われ、300件程度(うち死亡事案は150件程度)の支給決定がなされています。
もっとも、実際の過労死事件は、労災上の統計に表れた件数の数倍に上る可能性もあると考えられます。
脳・心臓疾患は、通常、症状が現れるまで、動脈硬化などの病変が長い年月をかけて徐々に増悪し、最後に発症すると考えられています。
もっとも、動脈硬化などの病変が徐々に増悪していくのではなく、過労が原因で著しく増悪し、脳・心臓疾患を発症する場合があります。
上記のような経緯をたどって発症した脳・心臓疾患は、発症に関して業務が有力な原因となっていますので、過労死として認められることになります。
過労死の認定基準は、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(基発第1063号・平成13年12月12日)において定められています。
労災上、過労死と認定されるためには、
(1) 対象疾病に罹患していること
(2) (1)の対象疾病が業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症すること
が、必要となります。
(1)の対象疾病には、脳血管の疾患として脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症があり、虚血性心疾患として心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む)、解離性大動脈瘤があります。
また、(2)の要件は、以下のI~IIIの要件のうち、いずれか一つに該当する必要があります。
Ⅰ.
| 発症直前から前日までの間において、異常な出来事(強度の精神的負荷を引き起こす異常事態、緊急に強度の身体的負荷を強いられる異常事態、急激で著しい作業環境の変化)が認められること。 |
Ⅱ.
| 発症おおむね1週間前から、日常業務と比較して、特に過重な身体的・精神的負荷を生じさせる客観的業務が認められること。 |
Ⅲ.
| 発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間から6か月間の間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められること。 |
過労死事件は、過労を裏付ける証拠の多くが企業側にあり証拠の収集が困難であること、訴訟に至る可能性が高いこと、労災・行政訴訟・民事訴訟に関する専門的な知識が必要であることなどの特殊性があります。
当事務所では、上記のような過労死事件の特殊性を踏まえた上で、皆様のご相談をお受け致しますので、お気軽にご相談下さい。
なお、既に社会保険労務士や司法書士など訴訟代理権を持たない業種や、当事務所以外の弁護士に事件を依頼されている方に対しては、セカンドオピニオンも行っておりますので、この点についてもお気軽にお問い合わせ下さい。